現在、社会的、経済的な理由で年々増加傾向にある孤独死ですが、孤独死された方に遺体を引き取る遺族がいない場合や全くの身元不明である場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律によって地元自治体が火葬します。 遺骨についても誰も引き取り手がない場合は、その後一定の保管期間を経て、そうした人たちが埋葬されている「無縁塚」に埋葬されます。
今回の記事では孤独死から、その後の葬儀の流れや費用などを解説したいと思います。

孤独死と孤立死の違い

孤独死・孤立死とは、家族や医療関係者などに看取られることなく、亡くなった時に独りで、死亡後に発見されることを言います。

孤独死の概念

孤独死、孤立死ともに同じような意味で用いられていますが、両者の間の違いは次の通りです。

孤独死とは・・・

孤独死は、平成24年の内閣府の「高齢者の健康に関する意識調査」によると、誰にも看取られることなく亡くなったあとに発見される死と定義されています。

孤立死とは・・・

平成20年3月の「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」の報告書では、社会から孤立した結果、死後長期間放置されるような状態と明記されています。

孤独死の現状

また平成22年の「高齢社会白書」では、家族や地域社会との交流が客観的にみて著しく乏しい状態の方が亡くなった場合を指しています。

このように、言葉の大きな違いは死んだ時の故人の状態にあるようです。

例え亡くなった時には独りであったとしても、家族や友人や近所付き合いがあった人なら「孤独死」で、そういった交流がない状態で亡くなった人なら「孤立死」に括られると言えるでしょう。
同じ死に方でも、社会的に孤立していたか否かで表現の違いが出てきます。

孤独死と孤立死共に遺族がいない場合の葬儀の扱い

遺体を引き取る遺族がいない場合や全くの身元不明である場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律によって地元自治体が火葬します。遺骨についても誰も引き取り手がない場合は、その後一定の保管期間を経て、そうした人たちが埋葬されている「無縁塚」に埋葬されます。

無縁塚

まずは自治体の費用により火葬などが行われ、かかった費用は法定相続人や扶養義務者などに後から請求されます。

孤独死の葬儀費用について

孤独死された方に遺体を引き取る遺族がいない場合や全くの身元不明である場合は、「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という法律によって地元自治体が火葬を行いますの直接的な費用は発生しません。但し、後ほど孤独死された方に法定相続人や扶養義務者がいることが判明した場合は、それらの費用は後から請求されます。

孤独死後、直ぐに遺族が見つかった場合は一般的な葬儀となりますので内容と規模に応じた費用となります。

また孤独死された方が生活保護受給などしてる場合は葬祭扶助という給付金を自治体から受け取れることがあります。

孤独死された場合の遺骨の行方は

親族がいる場合の孤独死では、遺骨は親族に返還されます。その後、葬儀・納骨を行う流れになります。

親族がいても、全く縁がないという理由で遺骨の引き取りを断られることもあります。引き取りを断られた場合や親族がいない場合、遺骨と遺品は自治体が管理することになります。

しかし、ずっと管理をしているわけにもいかないため、一定の保管期間が設けられています。各自治体によってもこの期間は異なりますが、5年程度であることが多いようです。

この期間が過ぎると、遺骨は無縁塚(むえんづか)に埋葬されます。

無縁塚には、身寄りのない人の遺骨がまとめて埋葬されているため、後から取り出すことができません。個別に墓を作って埋葬されるということはありませんが、無縁塚といえども埋葬自体はきちんと行われます。